散華の麗人
その言葉は重要な情報で、敵に言うには軽率すぎる話だった。
「俺は、たった今、死んだ。」
そう言うと、雅之は笑って、一正と同じ目線に立った。
「この戦に勝てば、考えよう。負ければ俺は再び、成田の傭兵だ。」
「……交渉成立、やな。」
「俺は高くつくぞ?」
偉そうな雅之に一正は苦笑した。
「望みは何や?」
「“皆が笑える国”」
「……当然や。」
一正がそう言うと、雅之は踵を返し、去った。
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