散華の麗人
どこか悲しげで消え入りそうにも見える瞳。
表情はいつもと同じだが、その目は自分のこころを殺しているのだと風麗は解った。
かつての、自分と同じ目だ。
母を亡くした悲しみを殺した最初の自分。
(胸糞悪い。)
風麗は眉を寄せた。
「婚姻のこと、忠告はした。後は貴様の意思だ。」
雅之は立ち去った。
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