散華の麗人
月夜はにっこりわらう。
「八倉家は此方寄りにせよ、人間嫌いの当主だ。陛下を疑うようなことがあれば容赦無く牙を剥く。」
「でも、東の方は居るでしょう?」
「大村部隊、か。」
リアンは名簿を見る。
「青龍の血……だが、それも白虎には及ばない。正確には、個々の妖の血は強い。だが、社会的地位や情報量が低い。総合的に考えると、白虎が陸羽派に傾くのは困る。」
「青の方は、武士の家系だったわね。」
「ええ。」
月夜に頷く。
「今は。」
そう付け加えた。
「研究所のことといい、あの当主には不可解な面が多すぎる。」
信用には値しない。
そう言いたげだ。
「先ずは精鋭部隊の強化。」
名簿を閉じると部屋を出た。
月夜もそれに付いて行く。
< 704 / 920 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop