散華の麗人

陽炎

その主は二人の前に現れると笑った。
「その表情、とても面白いね。」
そう言うとくすくすと笑う。
声の主は市女笠を被っている。
「何故、こんな場所に。」
「それはこっちの台詞だよ。……随分と仲良しじゃないか。」
柳にそう言って声の主が雅之を見る。
市女笠の隙間から橙の髪色が見え隠れする。
二人が驚いたのはその髪色が決してよくある色ではないからだ。
「おや。」
それに気が付いたのか声の主が柳を見る。
「そんなにこの髪色が珍しい?」
好奇を帯びた声音で言う。
「竜華国の者か。」
「まぁ、そんなところかな。」
雅之に声の主は軽薄に答えた。
「ここに来たのは君達に挨拶しようとしたわけじゃない。」
そう言って雅之の背後の方に視線を遣る。
「先程の会話から、僕の愛しい人は細川に仕えていることに違いないらしい。」
分城の方を見ると笑った。
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