散華の麗人
それに対して一正が反論する。
「じゃあ、息子から言ってやれ。“細川に味方してください”ってな。」
「馬鹿にしているのか?人非ずに同情の概念があると?」
「元は人間やで。」
「ならば貴様がやってみろ。」
「わしがやっても無駄や。」
“これでは話にならない”というように雅之が溜息を吐く。
「いずれにしろ、俺が陸羽派のことを調べる間に成田国を完全なる支配下に置かなければならない。歯向かわれたらあの子供はさておき、当主が面倒だ。」
「嘗て仕えてた国をそんな風に言うとわな。」
「言ってろ。これが現実だ。」
その2人の会話を聞いて風麗が立ち上がる。
「いいえ。」
視線が集まる。
「私が陸羽派のことを調べます。」
一正を見て言った。
「個人的に、用事がありますので。」
風麗は静かに言う。
「成田以外にも脅威はあるはず。」
(あの胡散臭い眼鏡も何考えているか解らない。)
リアンのことを思い浮かべて言う。
「陛下を守るだけなら八倉殿にも出来るでしょう?」
嫌味らしい言い方で挑発して去った。
「腹が立つ女だ。」
雅之は殺意を向ける。
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