T&Hの待望
 
 
事の発端は先週の金曜日。


悠一は放課後、見知らぬ女子生徒に呼び止められ、無人の生徒会室に誘われた。



『好きです。付き合って下さい』。



見舞われたお決まりのセリフは、間髪入れずに即遮断。

泣きそうな顔で立ち去る彼女の背中を見送るどころか、途中で追い越す冷酷ぶりを発揮。


そして週末を越えた今日。


どこかで蒔かれた種はすくすくと育ち。

四方八方広がった枝々から発信された、『三笠里子、黒川にフられる!』ゴシップで、話題持ち切りだったのだ。



 

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