T&Hの待望
「兄貴さあ、女の子に興味ないとか言うけど、じゃあ何を糧に生きてんの?」
「ああ?」
「 三笠先輩がウチの生徒会長って知らなかったんだろ? 普通あり得る? 行事司会や挨拶してる人だよ? 壇上にあがってマイク持って何かしゃべる人ね?」
「だからどうした」
「いわば今期の名山代表なわけ。そんな人の名前と顔を知らなかったんだろ? 俺が人間じゃないって主張する意味分かるよね?」
ようやく戻ってきた前の席の生徒に、頭を下げて椅子を譲る。
悠一の後ろに回り、同じ様に窓の外を眺めながら、呟くようにそう言った。
「壇上の人間相手に顔を上げるほど、俺は行事に熱心じゃない」
「まあそうだろうけど……」
せめて名前くらい知っててよ。
「知るか。俺が今切実に欲する対象。それは金だ。マネーだ。他に一切興味はない」