T&Hの待望
「ひぃえぇ~~っっ! 兄貴ってば! それが高校男子のセリフかよっ!! やっぱりラグナグ星人だ! 宇宙人は宇宙人同士で仲良くすればいいんだーっ!」
誰か宇宙船の手配を頼む~!!
不時着地点は私立名山高校3年校舎屋上だ~っ!
付け加えた伸一の絶叫に、クラスメートの好奇の視線が集まった。
悠一は素早く振り返り、弟の頭をパシリと打ち鳴らす。
ドスの利いた低音でもって、弟の耳元を零下に晒した。
「黙れやかましい。いいか? 俺達の貧相な家計状況を鑑みろ。晩飯から姿を消して久しい肉の存在を憐れめ。他人に興味を示す暇があれば、血眼になって依頼を探せ。先月頭から一件も入っていない状況を憂え。宇宙と交信している暇はない」
「そんなの、依頼ばっかに頼らず他のアルバイト見つけりゃいいじゃん」
「この仕事を始めるきっかけを作ったのは誰だ?」
「……あ、それは俺です、間違いなく」
悠一の鋭い睨みに再び頭を垂れる。
相変わらず四方からの視線が身に染みるが、悠一はお構いなしの様子だった。