T&Hの待望
 
「ひぃえぇ~~っっ! 兄貴ってば! それが高校男子のセリフかよっ!! やっぱりラグナグ星人だ! 宇宙人は宇宙人同士で仲良くすればいいんだーっ!」

誰か宇宙船の手配を頼む~!!

不時着地点は私立名山高校3年校舎屋上だ~っ!


付け加えた伸一の絶叫に、クラスメートの好奇の視線が集まった。


悠一は素早く振り返り、弟の頭をパシリと打ち鳴らす。


ドスの利いた低音でもって、弟の耳元を零下に晒した。


「黙れやかましい。いいか? 俺達の貧相な家計状況を鑑みろ。晩飯から姿を消して久しい肉の存在を憐れめ。他人に興味を示す暇があれば、血眼になって依頼を探せ。先月頭から一件も入っていない状況を憂え。宇宙と交信している暇はない」

「そんなの、依頼ばっかに頼らず他のアルバイト見つけりゃいいじゃん」

「この仕事を始めるきっかけを作ったのは誰だ?」

「……あ、それは俺です、間違いなく」


悠一の鋭い睨みに再び頭を垂れる。

相変わらず四方からの視線が身に染みるが、悠一はお構いなしの様子だった。


 
< 8 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop