恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
気不味い。
当たり前だ、2週間も連絡を無視し続けた相手だ。


そう思いながらも立ち止まらなかったのは、一度止まると逃げ出したくなるから。


逃げてる場合じゃない。
嫌がらせの件やこれからのことを、話さなければいけないのは確かなのだ。


ただ、会って話すつもりじゃなかったから…


少し怖気付きながらも、顔を上げた。
ドアの真ん前で、私は鍵を手に向かい合う体制。


笹倉は、本気で怒ってる時、殆ど顔に出ない。
笑いながら説教ができるタイプだ。


今、彼は無表情だ。
そして無言。まったくわからない。


「笹倉、あの、さ」

「飯、持ってきた」



意を決して出た言葉に、被さった。


彼が、片手にぶら下げたビニール袋を軽く持ち上げて見せて。



「メールしても電話してもどうせ無視だと思って。勝手に来た」



ビニール袋の中には、ほか弁が三つ。
……三つ?



「一緒に食わない?」

「え?」

「飯」




『お昼、一緒に行こう』



今日の自分の姿と重なって、妙に可笑しかった。
笹倉と私は、どうも行動が似ているらしい。
< 134 / 398 >

この作品をシェア

pagetop