恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~




「ありえなくないですか?売場で本気ダッシュって。今日は休みだし、結局逃げられてばっかです」

「へー」

「…その、すこぶるどうでもよさそうな反応、めっちゃ腹立つんですけど」

「どうでもいいってか…そのうちなんとかなるんじゃねえの」



会話の間にずるずるずる、とラーメンをすする音が入る。
どちらも食事がまだだったので、車に行くまでで見つけたラーメン屋で恵美との攻防戦を報告していた。


薄い反応に唇を尖らせて抗議したものの、返ってきた言葉もやっぱりぺらっぺらだった。



「真面目に聞いてくださいよ」

「平気だって。あの子なりに、気持ちの整理つける時間も要るんだろ」

「……そう、ですか?」



ぺらっぺらかと思ったら、何か確信めいた返事であり、きょとん、と藤井さんを見た。
こちらを見向きもせずにラーメンを啜る横顔があるだけだ。


首を傾げながら、まぁいいか、と思い直して、カウンターに置いてある小瓶から薬味をひと匙掬ってラーメンに入れた。



「…お前、これから車に乗るってのにニンニク山ほどいれんなよ」


え。ごめん、そういうの気にしたことなかったな。


「藤井さんも入れちゃえば気になんないですよきっと」


ひと匙掬って見せたら、ラーメン鉢をこちらへ寄せてきたので、そのまま入れた。


「お前、ほんと面白いわ」


見ると、頬杖ついて愉しそうに笑っている。
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