恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
何度か乗るうちに、慣れてきた車の匂い。
多分煙草の匂いだと思った。


吸っているところを見たことがないから、案外気を使ってるのかもしれない。



「煙草、気にしないでいいですよ?」

「あ、車臭う?」

「いや、今はにんにくの匂いの方が強いけど」



ああ、確かに。と彼が苦笑した。



「よくわかったな。人前ではあんまり吸わないんだ。落ち着く場所でゆっくり吸いたい方だから」



最初に気づいたのは、キスした時だけど。



「誰かさんと似たような事言ってる」

「誰?」




と聞かれたけど、本人は隠したいかもしれないので、白々しく
誰だっけ、とだけ言って窓の外を見る。


なんでもない会話をしながらさりげなく話を切り出そうと思ったが、うまくいかなくて。
直球になってしまった。


「いつまでも送ってもらうわけにいかないですし、明日からは大丈夫です」
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