恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
「どんだけ好きって言っても、人は簡単に裏切るし壊れるもん」



心臓が、どくどくする。



「壊れてくお母さん見てるのに、私だって一時の感情に振り回されて、人を裏切った」



懸命に声を抑えるけど、気持ちが高ぶっているのがわかる。
血圧もきっと最高潮だ。



「私は壊す方にも壊れる方にもなりたくない。簡単に変わる気持ちなんて、愛じゃない」



早口でまくし立てる、自分の唇がコントロールできなくて、怖い。


なんで藤井さん何も言わないの。
何か言って止めてくれなきゃ。


抑えられなくなった感情が、指先と唇を震えさせる。
泣きたいわけじゃないんだ。


それほど怒ってる訳でもない、落ち着け。


自分に言い聞かせて、ひたすら深呼吸を繰り返す。



「永遠に変わらないなんて、ありえない。あるとしても」



カタカタと震える指先を温めたくて、口元に寄せた。


ああ、やだな。


フラストレーション。
ストレス溜まってるんだよ、ただそれだけ。


自分の思考がくるくる回る。
唇は意思とは関係なしに動いてる。



「きっと手に届かないくらい、高いとこにあるんだよ。もっともっと高尚な……」



私の言葉を止めたのは、口を覆う私の手を取って包んだ、大きな手だった。
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