恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
「すっきりしたでしょ?」



髪が変わっただけじゃない。


服装も、今までみたことないような地味路線。
黒のシンプルなトップスに、デニム、スニーカー。



「まさか今日の為の変装とか…」

「そんなわけないでしょ。この2連休、忙しかったぁ」



まだ慣れないのか、短くなった前髪や襟足を指で弄りながら言った。



「昨日は美容院行ってバッサリ切って、昼に彼氏呼び出して別れ話して夜は瑛人君呼び出して告白して振られてきた」



振られた、という割にとてもすっきりした顔をしていて。
彼女のこんな顔を見るのはとても久しぶりで少し安心した。



「で、藤井さんまで引っ張り出されててびっくりしたんだけど。みんなで連絡取り合ってたの?」



なんか。
三輪さんじゃないけど、ものすごーく、疎外感、が。


少し離れたところにいた藤井さんが、見計らったのかひょっこり会話に口を出す。



「昨日まで俺が伝書鳩やってたんだよ、直接話すのが嫌だからって」




藤井さんが来た途端、恵美の眉間にきゅっと力がこもったのがわかり、少し私はヒヤヒヤする。



「この人とも話すの嫌だったけどね」



消去法で仕方なく…と。
明白に目を逸らしながら呟いた。


本人目の前にここまで嫌悪感を正直に出しちゃう恵美に、苦笑した。

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