恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
「遊び歩くのやめろって言ったのは、俺だし。だから、遊びじゃねぇよ」


真上から降る低音から、逃げ出したい。
けど、つないでいた手はいつの間にか手首をしっかり掴まれていて、軽くひねっても解けなかった。


「じゃあ、私のどこが好きだっていうんですか」


…だめだ、迫力負けしてる。
気持ちが。


幼稚な質問しか、返せないほど。


だけど、遊びじゃなければなんだっていうのか。
出会ってすぐから口説かれて、怒られてからかわれてまた口説かれて。


その繰り返し。
信じてもらおうとしてるようには見えない。


「子供みたいなこと聞くな」


小さく笑う声が、馬鹿にされてるような気がして。
眉根を寄せて顔を上げた。


「どこ、か。そうだな」


けど、顎を指の関節で擦りながら、考える顔は真剣だった。


「第一印象、かな

 始めて会った時」

うん、と一度頷いて、彼は信じられないようなことを言った。




「欲情した」


「は?」


やっぱり真剣な顔で、そう言った。


「ムラっときた」



や…

「やっぱりからかってるんじゃん…!」


真剣に聞いて損した!


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