恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
手を振り上げれば今度は簡単に解けてくれて、両手で藤井さんを突き飛ばした。


でかいから、全く飛ばないけど。
軽く一歩さがった程度、両手を掲げて見下ろす笑顔が、余裕過ぎて腹立たしいより何より。


気…抜ける。
かくん、と頭を垂れた。


「んなこと言っても、男の第一印象なんて顔より何より、まずそこだけど。やりたくなるか、ならないか」

「そんな話は男同士でしてください」


早く開けて、と言う意味を込めて、軽く車のドアを叩くと藤井さんを睨んだ。


「嘘は言ってないんだけどな」


意地悪く、顔を歪めて笑った。
悪そうな顔。


「こんなはっきり身体目当てと言われたのは初めてです」


「…仕返し」


電子音と共に、車のロックが外れた。


「相手の気持ち聞く前から、決め付けるのやめれば。その方が安心していられるんだろうけど」



息が詰まった。

身に覚えが、ありすぎて。


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