恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~



「あれ?今日の早番ってみさじゃなかった?」


隣の店で開店準備を進めるカナちゃんに声をかけた。
てっきりみさが居ると思って覗いてみれば、別人のシルエット。


「あ、恵美さぁん。おはようございます。そうなんですよ、今朝早く店長から電話があって、美里さん2日間急遽お休みなんです」

「え?今日から二日って…」


土日に連休なんて。


具合が悪くても、余程でなければ出来ない。
土日はどの店も平日よりも厚めのシフトになるからだ。


早番なら尚更、開店準備がある為休めない。
なんとか出勤して、中番が来たら帰らせてもらう、というパターンが多いし、事実みさもそうしていた。


「病欠なの?よっぽど悪いのかな」

「まだ詳しくわからないんです。早めに店長も出勤するって言ってたので、その時に聞けると思うんですけど…」


カナちゃんも、心配そうに眉尻を下げた。

昨日も、特に体調が悪そうには見えなかったけれど。
そう思えば、何かあったのだろうかと不安になる。


「店長がきたら教えてくれると思うので、恵美さんにもお知らせしますね」

「うん、ありがと。手、止めさせてごめんね」


自店に戻ると、従業員の荷物置き場になっている棚から携帯を取り出すと、画面を確認した。


特に、着信もメールも来ていなかった。

くる、と周囲を見渡してカウンター内でしゃがみこむと、私はこっそりみさの携帯に発信する。


けれど呼び出し音が鳴ることはなく、電源が入っていないことを知らせるガイダンスが流れるだけだった。



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