恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
普通の会社員なら、土日は休みということが多いだろう。
藤井さんの勤務形態なんて知らないけれど。


もし昨日の代理が藤井さんなら、今も一緒にいる可能性がある。


電話、してみようか。
詳しい話が聞けると共に、みさの無事な声も聞けたら安心だ。


そう思いながらも、妙にイラついた。
嫌いな人間と親友が一緒にいるのが、気に入らない。


大体、みさも彼の押しが強いからっていちいち相手にしなければいいのに。


「…お母様も心配ですよね。でも、お母様が難しい状態だったら美里さんも明日出勤する、なんて言わないだろうし。多分大丈夫ですよ」

「え?あ、うん。そうね…」


不機嫌な表情の私をみてまだ心配していると勘違いしたのか、カナちゃんが慰めてくれた。
確かにそれも心配だ。普段から、アルコールの量が多いという話だったから。


「代理って、誰だったか聞いてる?」

「えー……あ、はい。…藤井さんです」

「やっぱり。 って、なんでそんなに言いづらそうなの」


なぜかバツの悪そうな彼女に、敢えて優しく笑ってみせた。
不機嫌が顔に出て、怖がらせてしまったのかと思って。


「だって、恵美さんが藤井さん嫌いなの周知の事実じゃないですか。いっつも噛み付きそうな顔で見てますもん」

「えっ…」


普段から、そんなに顔に出てるのか。
思わず両頬に手を当ててさする私に、カナちゃんの顔には苦笑が浮かんでいた。


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