恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
◇
お父さんが出て言った日のことは覚えている。
高校3年の時、二人がよく揉めていたのは知っていた。
いつも笑ってる母が泣きながら父を責めていて、めちゃくちゃだったけれど女性の名前を口走っていた。
父は懸命に何か説明しようとしているんだけど、母は取り付く島もない。
私の前では、見せないようにしていたけど。
あんだけ夜に叫ばれたら、流石に気づく。
父が出て行く日、私はお別れも言い訳も聞かずに、ばいばいとだけ言った。
頭が重くて、身体の怠さが抜けない。
目を開くと、白い天井が見えて、見慣れぬものにすぐに事態は飲み込めた。
倒れちゃったのか。
元々貧血気味ではあるけど、それほど酷いものでもないし、意識を失うほどというのは初めてだった。
深く溜息をつくと、瞼の上から軽く目をこすった。
カーテンの隙間から差し込む光が明るい。
朝なのか。
そう思った途端に更に貧血が進行するような錯覚を得た。
慌てて布団を跳ね除けて起き上がる。
「しごとっ…!」
手荷物の所在を目で探すと、傍のソファで長く足をはみ出して横になる藤井さんに気づいた。
私の声で、起こしてしまったか、目をこすりながら掠れた声でいう。
「あー…携帯悪いけど勝手に見て、店長に連絡いれといた」
おきあがると、軽く伸びをした。ソファで身体が痛かったのか、眉を顰めて首をコキコキと鳴らす。
当然だ、あんなソファに納まる体躯じゃない。
お父さんが出て言った日のことは覚えている。
高校3年の時、二人がよく揉めていたのは知っていた。
いつも笑ってる母が泣きながら父を責めていて、めちゃくちゃだったけれど女性の名前を口走っていた。
父は懸命に何か説明しようとしているんだけど、母は取り付く島もない。
私の前では、見せないようにしていたけど。
あんだけ夜に叫ばれたら、流石に気づく。
父が出て行く日、私はお別れも言い訳も聞かずに、ばいばいとだけ言った。
頭が重くて、身体の怠さが抜けない。
目を開くと、白い天井が見えて、見慣れぬものにすぐに事態は飲み込めた。
倒れちゃったのか。
元々貧血気味ではあるけど、それほど酷いものでもないし、意識を失うほどというのは初めてだった。
深く溜息をつくと、瞼の上から軽く目をこすった。
カーテンの隙間から差し込む光が明るい。
朝なのか。
そう思った途端に更に貧血が進行するような錯覚を得た。
慌てて布団を跳ね除けて起き上がる。
「しごとっ…!」
手荷物の所在を目で探すと、傍のソファで長く足をはみ出して横になる藤井さんに気づいた。
私の声で、起こしてしまったか、目をこすりながら掠れた声でいう。
「あー…携帯悪いけど勝手に見て、店長に連絡いれといた」
おきあがると、軽く伸びをした。ソファで身体が痛かったのか、眉を顰めて首をコキコキと鳴らす。
当然だ、あんなソファに納まる体躯じゃない。