恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
その日は恵美ちゃんも休みで、俺はなんとか合間を見つけて、倉庫に向かうカナちゃんの後を追いかけた。



「すみません」


俺の顔を見た途端そう一言告げた後、彼女は口を真一文字に結んだ。

漫画みたいな反応だ、と思った。
それだけで、なんか話せないことがあるって言ってるようなもんで。


「何が、すみません?」

「笹倉さん、店いいんですか。めっちゃくちゃ忙しそうでしたよ」

「うん、だから商品がハケちゃって俺も補充。カナちゃんも倉庫だよな」


倉庫のまでの通路を、異様な速さでざかざか進みながらの会話。


「狭山は、なんで出勤してないの」


カナちゃんが俺から逃げようとしている行動で、もう体調が悪いとかそんな話じゃないってことは、確信した。


「…今日までは、絶対言うなって言われてたんです」

「だから、何を」


倉庫について、置スペースは隣だからお互い補充の商品を探しながら話をする。


「どうせ、もう今からじゃ間に合わないですし。早退なんてできる状態じゃないし、したって間に合いませんよ」


カナちゃんが、ダンボールを漁る手をぴたりと停めて、俺に向き直った。




「今日、引越しなんです。美里さん。ここでの仕事は、三日前が最後です。お別れも言わないくらい、一体何してそんなに嫌われたんですか?」



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