恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
「お前らは、なんでちょっと目を離しただけでこうなってんだ」


呆れた口調で言う藤井さんの目線は、少し下の方。
私と恵美の手荷物にあった。


大きなショッピングバッグを一つと、ベビーカーまで。
二人で苦笑いで誤魔化した。


「だって、買い揃えないといけないもの多すぎて。気が焦っちゃったんですよ」

「ね、いっぺんには買えないから、人手ある時にできるだけ買っといたほうがいいじゃない」

「だからってベビーカーまで今買わなくてもいいだろ」

「これは荷物乗せるのにいいと思って」


恵美が明日休みなので、今日はお泊まりさせてもらう予定だった。


「今晩、二人で開けるの楽しみ」


恵美は布でできたガラガラと肌着のセットを買ってくれた。


「荷物なら持つけどベビーカーは自分で押せよ」


それは流石に恥ずかしいらしい。


「藤井さんこそ、ランドセルは買ったんですか」

「おお、配送で注文しといた」


すました顔で言うけど、口元は緩んでいてご機嫌なご様子だ。
良い買い物ができたようで。


「とりあえず、一回休憩しない?もうお昼過ぎてるし、みさも立ちっぱなしだし」


恵美が腕時計を見ながらそう言った。


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