恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
食べ終えて少し寛いだ後。


「片付けてくるから、ちょっと待ってて」


恵美はそう言うと、トレーを持って席を離れた。

自分のくらい、自分で片付けようとしたけれど、藤井さんが私のも重ねて一緒に持って行ってしまい。


…なんだろう。


何か予定調和を感じたが、余り考えずぼんやりと頬杖をついて待っていた。
これから、次はどこに行こうか。


あ、マタニティ買わなきゃいけないんじゃない?
赤ちゃん物ばかり気になって、マタニティ期間のことが一切頭になかった。


次の目的が決まって、恵美と藤井さんが戻ってくるのが遅いと感じた時、違和感があった。


藤井さんも恵美も、ふたりそろって自分のバッグや上着を持って行ってる。


トレー下げるだけなのに?

あ、喫煙所にでも行ったのか。


頬杖をついたまま、ぼんやりとしていた視線が何げなく二人が帰ってくるだろう方角へ向いた。



向いた、視線がすぐに、見つけてしまい私は目を見開いた。

まだ遠いけど、見間違いなわけもなく。

彼も、間違いなく私を見て確実にこちらへと歩いて来ていた。



「……図られた」


バッグも上着も持ったまま消えた二人に、私は胸の中で毒づいた。


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