恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
図られた。


そう気づいたら、全部恵美に仕組まれていたのだと思い当たる遣り取りが頭を過ぎる。


笹倉とじっと視線を合せながら、私は舌打ちをした。


やけに目立つロゴの入った大きなショッピングバッグにベビーカー。


最初に、ベビー用品を買いにいこうと言いだしたのも、あれもこれもと率先して大荷物にしたのも。


荷物がい多いからと、せっかく荷物持ちがいるのにベビーカーを早々に勧めたのも、恵美だ。


どう言い訳しようにも、上手くやり過ごせる気がしない。
それは、恵美の狙いどおりなんだろう。



「ほんとに、お節介」


深い溜息と共にそんなセリフが出た時には、もう彼が目の前に立って、座っている私を見下ろしていた。


それなのに、私の方が見下ろしているような気分になるのは。


彼が、困惑したような泣き出しそうな、そんな情けない顔をしているからに違いない。


そんな表情を見てしまったら、思わず笑ってしまった。


彼の視線は、一瞬だけベビーカーに注がれた。
表情は情けないままだけど、驚いてる様子はなくて。


もしかしたら、恵美の策略で買い物の一部始終から見ていたのかもしれない、と思った。


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