恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
「今日会わせるから待ち合わせから暫く様子見て、途中で帰りたくなったら帰れって言われてた」


両掌を組み合わせて、その手に額を乗せていた。

表情が見えないけれど、私にはその仕草が困っているようにしか見えない。


「全然意味わからなかったんだけど… やっとわかった。なんでちゃんと言わないの、お前」


だから、違うっていってるのに。

狼狽える必要ないんだよ。


「… 笹倉の子じゃないって、言ってるじゃん」

「だったらなんで何も言わずに消えて、俺だけに行く先秘密にしたの。腹の探り合いに来たんじゃねぇ。ちゃんと話しにきたんだよ」


逆に諭されているような形になって、今度は私が言葉を失った。


彼が顔を上げて、表情が伺える。

やっぱり泣きそうな、情けない顔が、斜めがちの視線でショッピングバッグにあるベビー専門店のロゴを見て、言ったのは。


「… ごめん」


謝罪の言葉。

それ、どういうごめんなの。
考える前に、かちんときた。


「なんであやまんの」


テーブルの上で、拳をぎゅっと握った。

間違ってできたみたいに、言わないで。


「私は嬉しかったから産むの。否定しないでよ」


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