恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~



「大卒ってずるい」

『…ずるいって。旦那さんになる人がそれなりお給料あるんだったら、良いじゃない』


ベッドの上で、ごろんと寝返りをうちながら言った。
電話の向こうで恵美の苦笑が聞こえる。


大体、この部屋だってそうなのだ。
来るたびいつも思ってたけど、結構良いマンションを借りている。


私のアパートとは大違いだ。


「あんな石が着いた指輪なんか、そう使うこともなく終わって結婚指輪に切り替わるんだし要らないって言ったのに」


二人で買い物に向かって、別に今日中に決めることもなかったのに。
ジュエリー巡りをしているうちにテンションの上がった笹倉が、壊れた。


別にそれほどこだわりもなかったので、適当に流して見ていたら、私の反応の薄さにごうを煮やした彼が、店員とがんがん話を進めて。


気づいたら、婚約指輪と結婚指輪が決まっていた。


「…普通逆じゃない?」


壊れるのがさ。



『ま…でも、良かった。みさは怒ってるかなと思った』

「やられた、とは思ったけどね。ほら…」


嬉しそうな恵美の声に、私は人差し指で頬を掻く。


「私、多分あそこまでされなきゃ、素直にうんとは言わないだろうしね」

< 308 / 398 >

この作品をシェア

pagetop