恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
「別にいいだろ。ちゃんと結婚するんだし。ってか、ほっとけよって話だよな。なんでいちいち噂になるんだか」



私の杞憂を、事も無げに否定して。
噂には心底呆れた様子で眉根を寄せた。



「じゃ、敢えて一緒にうちらの店周辺うろついてみる?」


「底意地悪いな」



はっ、と短い笑いを漏らしながら、だったら、と手を取って指を絡めてきた。



「え………いや、それは流石に恥ずかしくない?」

「そうか、普通だろ」



私の頬が引き攣るのもお構いなしに、面白半分で店の近くへ歩いていく。


まぁ、実際に見せつける意図はなく。
そこを通るのが、出口に近いからだけど。


仕事中なのだ、皆通り過ぎる客の顔まで見ないだろうから、気づかないだろう。


そう思ってたが。


笹倉の、外面の良さをちょっとナメてた。
知った顔数人から、興味以上に棘のある視線を浴びる羽目になる。


間違いなく、笹倉ファンだな。


小さく肩を竦めながら、素知らぬふりで通り過ぎる。



「どうせ、店長と話してる時にうちの宣伝カーが聞いてたからな。明日には殆ど知れ渡るんだろ」

「宣伝カー?」

「小西」



あぁ。
と頷いた。
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