恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
彼なら悪いようには言わないだろうけど。
こんだけ噂の下地があったら、途中でひん曲がる可能性はあるな。


刺々しい視線を交わしながら、自分の店が見える辺りに来るとカナちゃんと目が合って。


可愛い後輩には、ちゃんと説明しなきゃいけないだろう。
今までの懺悔も込めて、小さく手を振ってフロアを後にした。






「次、どこ行く?」



百貨店を出て、のんびりと屋外を歩いた。
天気は良いが、空気は冷たくて口から白く息を吐く。


さっきからの延長で手はつないだまま。
昨日もなんとなく繋いだし。


少しずつ慣らされてきた。



「スマホに機種変しにいって、それからついでに寄っとくか」

「どこ?」

「指輪」

「あ、あれ。もう出来たの?」

「一昨日連絡入ってた」



ひゅるん。
と冷たい風が吹き抜けて、枯れた葉っぱが歩道の端を転がった。


ぶっ、と思わず吹き出して笑ってしまった。



「そっちがついでなんだ」

「……だって、お前がどうでも良さげなんだもん」



なんだもん、って何だ!
笑って横顔を見上げたら、唇が尖ってて。



「ほんといちいち拗ねるよね」



今まで知らない一面だ。


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