恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
「今までで一番、お前の反応が良かった」



彼の機嫌の回復した理由の意味が良くわからなくて首を傾げながら。
それほど、気に留めることもなく。


ハートが揺れる、商店街のアーケードを見上げた。


不思議だなぁ。


去年の今ごろは、こんなふうに一緒に歩くことなんて想像もしていなかった。
家を買う話をしたり、指輪で拗ねられたり。



「ほんとに式しねぇの」

「絶対いや。恥ずかしいし勿体無い」



結婚式の話をしたり。



「無いわ…」

「お前はそう言うと思ったけどな。俺は気ぃ遣う家族もいないから構わねぇけど…お前のお母さんとか絶対して欲しそうだけどな」



仕事以外で、笹倉がこんなに気遣い屋だったりも知らなかった。
誠実さから決定的に遠い人間だと思ってたからなぁ。



「…いいのかなぁ」

「生まれてからやってもいいんじゃね?できちゃった婚ってそういうのよくあるよな」

「笹倉なら他にいくらでも相手いたのにねぇ」

「…………
 
 お前はなんの話をしてんの」



私には勿体無いって話だよ。



「惚れ直したって話」



ちょっとだけ言葉を選ぶ。
物は言いようってこういうことか。

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