恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
振り向いた笹倉の顔は、白々しいほどの爽やかな笑顔で、私は逆に鳥肌が立つ。



「すみませんね、気遣わせて」

「いや、こっちこそ。呼び止めて悪かったよ。それじゃあ」



若干頬を引きつらせながらも笑顔で踵を返す。
状況を察して余計なことは何も言わず去っていく辺り、案外大人なヤツだった。



「よし。逃げたな」

「いや、逃げたってか。関わりたくなかったんじゃない」



ふん、と鼻で笑った案外子供な笹倉。
私に対しては、すぐに接客モードを解除して、また不機嫌に見下ろされた。



「で、あれ誰」

「さー……。誰だっけかな…」

「………」



流石にバツが悪く視線を逸らしたら、深々と溜息をこぼされて。



「やっぱ、お前モテるんだな。俺は後何人くらい追っ払わなきゃいけないの」

「いやいや…偶々奇跡的に会っただけだし。いくらなんでも、そんなに道端にゴロゴロしてる程にはいないから」



いや、そんなことよりも。
笹倉の激しい勘違いに、肩を竦めて反論する。



「てか、あんなんモテてるとは言わないでしょ。気軽に遊べそうだから寄ってきてただけのことで」



笹倉の出現で、足早にその場を離れたのがその証拠みたいなもんで。
面倒くさそうな状況だとわかれば関わらない、その程度なのだ。


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