恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
「昔のオトモダチって言ったら笹倉のがわんさか出てくるでしょうに」

「その時はお前が追っ払ってな」

「……絶対女のほうが面倒くさそう」



どちらからともなく足を踏み出す。
市役所まであと少し。


手を繋ぐことが自然と思えるようになってきた。


最近思う、私は色々と、世間知らずの上に経験不足だ。
男女の仲において。


一足飛びにベッドインばっかりしてきたもので。
今日のデートだって、行きたいところ考えといてと言われたけれどてんで思いつかない。


数少ない、過去の彼氏とのデートではどこに行ってたか、思い起こすがピンとこなかった。
大概が家デートかラブホか、夏は海に行ったりもしたけれど。


2月に海は、ない。





窓口のお姉さんはとてもにこやかで感じの良い人だった。



「はい、結構です。おめでとうございます」



そう言われて、二人肩を並べて小さく会釈する。
周囲の目線はもちろん、笹倉ともどういうわけか目を合わせることを避けてしまった。


紙切れ、一枚。
なんて簡単。


市役所の自動ドアを潜った時に、しみじみと言葉が零れた。



「とうとう、私も笹倉になってしまった」

「嫌そーに言わないでくれる」
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