恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
ごくん。
と、ポテトと一緒に笹倉の言葉を飲み込むように。


少し、考え込んでしまう、数秒。


目の前の男は、それ以上は何も言わない。
私の返答を待ってるのか、言いたいこと言い切ったのか。



「言いたいことあれば言えばいいじゃん!ほら言ってみて!」


私、逆ギレ。


「んな、改めるようなことじゃなくて!普段何気なく過ぎてく会話で、あ、踏み込まれたくないんだなって感じる壁があるってことだよ。会話から逃げてばっかり、ってその辺が多分、一番の本音じゃねぇの」

「そんなの、誰でもあることじゃないの」


壁なんて、大げさな。話したくないことは誰だってある。


「うん、だから。恵美ちゃんは心配なのと、寂しかったってことだろ。第一、謝るっていうけど何を謝るの、お前」

「えっ…」

「いい加減な関係ばっかり持ってすみません、って?馬鹿にしてすみませんって?馬鹿にしてたの?」

「違うよ!」


大きく頭を振った。


「だろ、だから謝るとかじゃないんだよ」



そう言われると。
私には成す術がなくなってしまうじゃないか。


眉根を寄せて、コーヒーを一口飲んだ。
砂糖入れ忘れて苦いのが、今の私の状況を表してる気がして。


今更砂糖を入れようと思っても、もうぬるくなってしまった。



「別に、今からでも遅くないし。謝るっていうより、なんとか捕まえて腹割って話せば」



コーヒーを見つめる私の心境を読んだような、一言だった。



「で、あの男誰?」


ごほっ……


思わず咳き込む。
今日は話すことが多すぎる。



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