カタオモイからはじまる恋

「はい、俺の腕掴んで早く立てよ」

「え」

悠稀の口から思いがけない
台詞が出て驚きを隠せない。

目を擦って目をパチパチさせる。
うん、夢みてない。

「早く」

悠稀はあたしの腕掴んで
あたしを立ち上がらせた。

「膝から血出てるし、俺ん家で消毒するか。来い」

あたしの鞄を持って歩き始める。

「鞄…自分で持つから」

「怪我人に優しくじゃなかったっけ?」

「そ、そうだけど…」

「もしかしてお前歩けねーの?」

静かに頷く。

そう、立てたのはいいものの
一歩も踏み出せない。

「嘘だろ」

と言って髪をくしゃくしゃにする。
< 39 / 161 >

この作品をシェア

pagetop