俺のこと好きになるの禁止だから!!
生ぬるい雨の香りが辺りを覆っている。私は彼を追いかける。
「ツバサ、嬉しいよ。」
そう言い、ツバサに追いついた私は彼の袖を引っ張った。
ぐしゃっという音がした。
「つめてぇ!」
あわてて彼が手を引く。
そして…
ゆっくりと長い指をこちらぬ向けて手のひらを返す。
私は手を差し出す。
「今日は、『お手』じゃないよね?」
そう聞くと、笑って手を握り返した。
「ねぇ?なんで『わりぃ』なの?」
「深い意味はねぇよ」
「ねぇってば~」
追及するものの、それ以上彼はそのことには触れなかった。
もっと聞きたい彼の言葉や気持ちの真意を聞けないまま。
だけど、彼の顔は今までに見たことがないくらい真っ赤だったのはとても印象的だった。