シルティアの魔術師
彼が姫君の方を見上げると、その顔に光が当たります。

その顔は気のせいか、少し血の気を失っているかのように見えました。


ここしばらく私は同じ印象を持っていましたが、見たところ彼自身は普通に振る舞っていたので、気にはしておりませんでしたが…。



「…皮肉なものですね。シルティアに深い憎しみを持った私が、シルティアを最も愛すべき立場に生まれ変わるなんて…。」

姫君は、静かに遠くを見つめます。
その仕草に、ふとエリスの姿が重なりました。
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