シルティアの魔術師
「…いいえ。あなたはー…あなたの魂は、絶対に守ってみせるわ。何としても…!」


力のこもった姫君の手から眩い光が溢れ出します。



「エリス=フリートル、そしてカトリーナ=シルティスの名において命ずるー」


光が次第に大きくなり、2人を包み込んでゆきます。



「出でよ、アルテミス。苦しみの檻に捕らわれる者の魂に、平安を…。」





ーその刹那。

輝く翼を携えた美しい女性が、2人の元に静かに舞い降りました。




「姉上…?」

「あなたの魂を、ニーズヘッグから解放するわ。これが私の、最後の魔術です…。」


姫君の目に幾筋もの涙が伝います。

それはまるで止まる事を忘れたかのように、次から次へと流れて行っておりました。
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