君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「誰だ?こんな時間に」


ケータイを取り出し相手を確認する。


「...藤原?」


思わず足が止まってしまった。


別にただ、電話に出ればいい。

だけど、なぜかそれを拒否する自分がいる。


悪いけど、気付かなかったことにしよう。

疲れきった今、藤原と話す気分にはなれなかった。

いまだに着信音が鳴るケータイをポケットにしまい、また歩き出す。


しばらく歩き続け、自宅マンションが見えてきた。
だいぶ時間は過ぎたはずなのに、いまだにケータイの着信音が鳴ったままだった。


仕事のことなら、必ず仕事用のケータイにかけてくるはずだから、仕事に関してでは、なさそうだが...。
もしかしたら、何かあったのかもしれない。


「出るか」


再度ポケットからケータイを取り出し電話に出る。


『やっと出やがった!バカ野郎!!』


「...は?」


何かのバツケームか?と聞きたいくらい、いきなり罵声を浴びせられる。


『なんですぐに出ねぇんだよ!大変なんだ。櫻田が田所部長のところに行っちまった』


「えっ...?」


ーーーーーーーーー

ーーーーー



「ったく!なんだってんだよっ!」


藤原から事情を聞いた俺は、直ぐ様車に乗り込み、例のホテルへと向かう。


KISAIの田所部長は有名だった。
女好きで、狙った女は必ずどんな手を使ってても、ものにする。と。

大手の会社で、契約欲しさに自分の秘書を差し出すバカもいる。

そんなバカな奴らのせいで、田所部長は味をしめていったんだろう。

そんな厄介な田所部長に目をつけられたのが、櫻田なんて...。


面識ないはずなのに。


スピードをさらに出し、目的のホテルへと辿り着く。


車を駐車場に停め、走る。


「っくそ!」


なんで俺、走ってんだ?
社にも寄れないほど疲れていた身体のはずなのに...。

ただ、櫻田が心配で心配で仕方なかった。


エントラスを抜けて、上がる息を抑えながら受付に田所部長の部屋番号を確認する。

偽名を使われているかもしれないと心配したが、自信と余裕があるのか、実名で部屋を取っていた。


「間に合ってくれればいいが」


エレベーターホールへと向かうと、見えたのは田所部長に肩を抱かれエレベーターに乗り込む櫻田の姿。


目が赤い櫻田の姿にカッと頭に血がのぼる。


足を早め、扉が閉じる直前に扉を押し退けた。


「待て!!」
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