君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「...うそ」


俺の姿に口をあんぐりとさせ、驚く櫻田。


「とっ、東野君!なっ!君、確か出張中のはずじゃ!」


突然現れた俺に、余裕なく慌てる田所部長。
それでも尚、櫻田の肩に腕を回したまま。
その姿になぜか苛立ちを覚え、直ぐ様櫻田の腕を掴み、田所部長から引き離した。


「田所部長、櫻田は返して頂きます。...いいですよね?」


勝手に櫻田を呼び寄せやがって...!
語尾に怒りを込めて言うと、伝わったのか田所部長は無理に苦笑いを浮かべながら、そのままエレベーターで上の階へと上がっていった。


「さて、と。櫻田。まずは話してもらおうか?なんで櫻田がここにいるかを」


藤原から事情は聞いてて分かっていたが、櫻田を問い詰めずにはいられなかった。


「櫻田、お前自分が今、どんな現状にいたのか理解しているのか?」


思わず櫻田の腕を掴む手に力が入る。


「たまたま俺が間に合ったからよかったものの。もし間に合わなかったら、あいつのエサになってたんだぞ!」


「...ごめっ、なさい...」


弱々しく放たれた櫻田の声。

いつの間にか櫻田の瞳からは涙が溢れていた。


「ったく!泣けばいいと思いやがって」


お前は分かっているのか?
俺がどんな思いでここまで来たのかを。


強く掴んでいた櫻田の腕を離し、同時に自然と漏れてくる溜め息。


だんだんと怒りも収まり、周囲が見えてきた。

そして気付く。俺達が変な意味で注目されていることに。

取り合えず話は車の中でと提案し、駐車場へと向かう。


向かう途中、後ろから気まずそうに後をついてくる櫻田を、背後から感じながらさっきの藤原から聞いた話を思い出す。


《櫻田は、東野と仕事をするのが夢だった》

《営業をやりたいわけじゃない。東野の秘書をやりたい》

《早く東野に信頼される秘書になりたい》

どれもこれも、耳を疑いたくなるような言葉ばかりだった。


そしてなんとも言えない気持ちになる。

そんな櫻田に俺は今までどんな態度だった?



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