君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
今までの自分の態度が恥ずかしく思う。

俺は、そんな風に思ってくれていた櫻田を利用して、仕事も私情を挟んで与えず...。
32歳にもなってなにやってんだよ。


いつの間にか駐車場へとたどり着き、見慣れた車が視界に入ってきた。

鍵をあけ、先に運転席へ乗り込むと、櫻田は「お邪魔します...」と、まるで家へと上がり込むような言葉を発してきた。

そんな櫻田の何気ない言葉に、和まされる。

そして伝えずにはいられない気持ちにさせられる。

いや。ただ、俺はこの罪悪感を早く取り除きたいだけなのかもしれない。


「櫻田は何か勘違いをしていないか?」


「えっ...?」


俺の言葉に真っ直ぐな視線を送る櫻田。
その瞳で見つめられると、なぜか平常心ではいられなかった。


「わりぃ。煙草吸ってもいいか?」


「あっ、はい!」


何かあれば吸う煙草。
煙を肺に流し入れ、自分を落ち着かせる。
仕事でも滅多にこんなに緊張したことなんてないのにな。

俺は一体何に緊張してんだ?


自問自答しながらも、櫻田に伝える。


「さっきの続き。俺は櫻田だから秘書にしたんだ。別にお前のことを信頼していないわけじゃない」


「東野さん..」


胸に痛みがはしる。
悪いな、櫻田。本当のこと言わないで。

だって言えないだろ?お前に対して本当のことなんて。

せめてもの償いは、こうやってお前の気持ちをフォローしてやれることだけ。


「藤原から聞いた。悪かったよ。ちゃんと言えばよかったな。...櫻田のことはちゃんと信頼してるから。だから今日みたいな無茶するな」


そう伝えると櫻田は急に背を向け、窓の方を向いてしまった。


...なんだ?もしかして、泣いてるのか?


泣いている姿を見せないなんて、本当に変な女。

よく言うだろ?《涙は女の最大の武器》だって。

普通、今の場面で使うべきなんじゃねぇの?
涙を見せればいいんじゃないのか?

それだけのことを、俺はお前にしてきただろ?

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