君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~

大きなため息が漏れた瞬間、急に肩に訪れた温かなぬくもり。


...どうするんだ?これ。

俺の肩に寄りかかってきたのは、勿論櫻田なわけで。

列車はまだ発車したばかり。大阪までまだまだ時間が掛かる。


櫻田を見ると、気持ち良さそうに熟睡しており、起こすのが可哀想なくらいだった。


「...仕方ないか」


やっと眠れたんだ。
このままにしてやろう。


でも不思議だな。絶対他の女にこんなことされたら、嫌悪感と拒否反応が襲ってくるっていうのに。
全然やってこない。


嫌な気持ちなどなく、むしろ安心感がやってきやがる。


どんなに仕事が出来たって、男嫌いだって寝顔だけは子供みたいなんだな。

そんなことを考えながらも、櫻田を見てるといつの間にか、つられて睡魔が襲ってくる。


まだ時間もあるし、仮眠取るか。


そう思い、俺も眠りに入った。


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ーーーーーー


次に目を覚ました時には、大阪まであと少しのところで、肩へのぬくもりは変わらずあった。

思わず顔が緩みそうになるのをグッと堪え、いつもと同じ態度で櫻田を起こす。
最初は寝惚けていた櫻田も、段々と覚醒し、いつものように慌てる始末。


ひたすら謝る櫻田が可笑しくて、つい意地悪なことを言ってしまった。

列車を降り、気持ちを切り替え取引先へとすぐに向かう。

だが、ここで思いもよらぬ展開が待っていたとは予想できずにいた。


どうやらまた副社長にはめられてしまったようだ。

聞いてた話とは全く違い、契約後にすぐ副社長に連絡すると、『待ってました』と言わんばかりにすぐに電話に出た。


『驚いたでしょ?いつも頑張っている東野君へ僕からのプレゼントだよ。たまにはゆっくり休んで。大阪なんて滅多に行けないでしょ?最近噂の櫻田君とゆっくりね』


やられた...。

そう思っても時すでに遅し。

電話を切り、待たせている櫻田の元へと向かう。


ゆっくりしてこいって言われて「嫌です」なんて言えるわけないと、副社長も分かってるだろう。


「あっ、電話終わりました?」


「櫻田...」


考えても仕方ない。
取り敢えず副社長にはめられたこと。副社長からの伝言を伝えた。



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