君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「櫻田、一緒に観光でもするか?」


「えっ...えぇー!?」


予想通りの反応だな。


まぁ、一番驚いてるのは俺自身だけど。


どうせはめられたんだ。
なら、最後まではめられてやろうじゃないか。


「たまにはゆっくりするか。櫻田!観光するぞ」


「あっ、はい!」


いまだに困惑している櫻田。

悪いな。こんな時だけ上司の特権を使わせてもらって。

櫻田は俺が観光するって言ったら嫌って言えないだろ?


だけど、後にこの判断が今の悩みの種をさらに深いものにしてしまうとは、この時はまだ分からなかった。


ーーーーーーー

ーーーー

そのまま櫻田と私服を買いに、近くのショッピングセンターへと向かった。

櫻田と別れ、久し振りの買い物を楽しむ。
普段着ているようなシャツとジーンズを購入し、本屋やCDショップへと足を運んでいたら、気づけばけっこうな時間が経っていた。


「さすがに櫻田もホテルに戻っただろうな」


そんなことを呟きながらも歩いていると、目に飛び込んできたのはスーツ姿がよく目立つ櫻田。


なんだ。まだいたのか。

どうやら服を選んでる様子。その表情があまりにも真剣そのもので、思わず笑ってしまった。


「なんであんなに必死なんだ?」


しばし櫻田の様子を見つめていると、気に入った服があったようで、それを手に取り鏡の前で合わせていた。

櫻田が手に取った服はフリルのついた可愛らしいミニ丈のワンピース。

確かに櫻田には似合いそうだが...。少し、スカート丈が短すぎるんじゃないか?

思わず足が進み、気付けば櫻田に声をかけていた。


「似合わないだろ。若作りしすぎだ」


「わぁっ!とっ、東野さん!」


本当は似合うと思う。だけど、明日着る服なんだろ?


「ほっ、放っておいて下さい!若作りと言われようと自分が着たいから着るんです!」


よっぽど俺の言葉が気に食わなかったようで、珍しく怒る櫻田。

分かってるさ。確かに自分が着たい服があれば、それを買うのが当たり前だって。
でも、そんな服着てほしくねぇんだよ。


「バカだな、櫻田は。櫻田なら...」

だけど、そんな素直な気持ちを言えるわけもなく。ふと、近くのショップにディスプレイされている洋服が目に入る。

そのままそのショップへ向かい、いいと思った洋服を手に取る。

< 205 / 411 >

この作品をシェア

pagetop