君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
うん。櫻田にはこれも似合うだろう。
「あの、東野さん?」
不思議そうに俺を見つめる櫻田に洋服を差し出す。
「櫻田はさ、脚がきれいなんだから細身のパンツが似合うんじゃないのか?」
「えっ...?」
持っていたパンツとそれに似合いそうなチェックのチュニックを差し出す。
「俺は似合うと思うぜ」
さっきみたいに怒らせないよう言葉を選んだつもりだが、言った自分自身が恥ずかしくなってしまった。
俺は一体なにを言ってんだ?脚がきれいだとか、似合うとか...。
そのまま適当に切り上げ、先にホテルへと戻る。
部屋に入るのと同時に漏れる大きな溜め息。
最近の俺、た溜め息ばかりだな。
でも溜め息もつきたくなるさ。
自分自身に何度でも。
あのワンピースを着て、明日俺の隣を歩く櫻田の脚を、すれ違う男に見せたくないって思ってしまった。
普通の感情なのかもしれない。好きな女に対する普通の男だったら。
まるで昔の俺みたいじゃないか。ただ一人の女が愛しくて可愛くて...。
つまらないことで嫉妬して...。
「またあんな思いをしたいのか?俺はー...」
あいつと出会ってしまったから人を愛せて。
あいつと出会ってしまったから女が嫌いになった。
もうあんな思いを二度としたくなんてねぇのに...。
櫻田を好きになんてなりたくねぇ。
そう思っていても、感情は止まってくれなかった。
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次の日、ホテルのロビーで櫻田を待っていると、昨日、俺が差し出した服装で現れた。
「フッ...。昨日の俺が言ったまんまじゃん」
「そっ、それは!」
別に責めているわけじゃない。ただ単に嬉しいだけ。
この日は櫻田と二人で、大阪を満喫した。
食べて色々な話をして。
話してみると、音楽の趣味は勿論、食べ物の好みが似てたり、ユニバーサルスタジオジャパンでは俺と同じくアトラクションが好きだったり...。
益々気持ちを加速させられた。
「あー...。久し振りだ。こんなに遊んだのは」
「そうなんですか?」
それに、こんなに笑ったのも久し振りだな。
「あぁ。いつも仕事だったからな」
最初は仕事をして早く忘れたかったんだよな。
「仕事人間だよ。まぁ、仕事事態好きだからな」
ただ忘れたかっただけなのに、いつの間にか営業の魅力に飲み込まれてしまった。