君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
営業部のドアの前に立ち、呼吸を整える。


もう大貫さんはいるのかしら。

緊張が増す。

いつも通りに...。

頭の中で呟きながら、いつものようにみんなに挨拶をしながら奥へと進む。


そして段々と見えてくる東野さんと、大貫さんの姿。


二人でパソコン画面を見ながら、真剣に話している様子。


なんだか行きづらい雰囲気...。


自然と進む足は遅くなる。


「あっ、櫻田さん!おはようございます」


だけど大貫さんはすぐに私に気付いてくれて、笑顔で挨拶をしてくれた。


「おはようございます...」


上手く笑えてる?


「櫻田、スケジュール確認してると思うが...」


「あっ、はい!」


変更かな?

慌てて手帳を取り出す。


「今日からしばらくの間、大貫さんについてもらうことになったから。櫻田は藤原のフォローしてもらってもいいか?」


「...え?」


「さすがに三人で営業に行くのも、な。いい機会だし藤原に色々教えてもらうといい」


そんな...


「以上だ。仕事に入ってくれ」


「はい...」


分かってる。今は仕事中。

だけどやっぱり悲しい気持ちになってしまう。


東野さんと一緒に仕事がしたくて、今まで仕事を頑張ってきて...。

まるで子供の頃、大好きなおもちゃを取り上げられてしまった気分。


「藤原係長、よろしくお願いします」


「あぁ。よろしくな、早速だけどー...」


とにかく今は仕事中。藤原係長に頼まれた仕事にだけ集中しなくちゃ!


ーーーーーーー

ーーーー


「櫻田!休憩だ」


「えっ...ちょっ!?藤原係長!?」


書類を作ってる最中、急に藤原係長に声を掛けられたと思ったら、そのまま腕を引かれた。


「奢ってやるから、少し休もうぜ」


「休もうぜって...私、凄く仕事が中途半端なんですけど!」


「いいからいいから!」


いいからって...。


引きずられる形で自販機前へと連れて行かれる。


本当に藤原係長ってばマイペースな人なんだから。


「ほら、いつもの櫻田が好きなやつ」


「ありがとうございます」

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