2LDKの元!?カレ

遠慮がちな声だった。

だから私は、どう答えたらいいのか迷った。

でも、ちゃんと顔を見て言いたくて、西野くんの胸に手をついて少しだけ離れると、今度は私が彼の顔を覗き込む。

「ゴメン、うちは……」
「いや、ダメならいいんです。ただ、もっと一緒にいたいなって思っただけだから」
「ちがうの、そうじゃなくて」

上手い理由が思いつかなかった。こんな時の答えを私は用意していない。

「西野くんのウチじゃダメかな?今日はなるべく早く上がって、夕ご飯食べてから帰るか、もしよかったら、食材を買って何か作ってもいいし、どう?」

西野くんの強張った顔が緩んでいくのがわかって、私はホッと胸を撫で下ろす。

「じゃあ、志保子さんの手料理で」
「うん、わかった」

指切りの代わりにキスをして、ソファーから立ち上がった。

同時に編集部のドアが開いて、私は慌てて西野くんと距離をとった。

出社してきた部員と挨拶を交わしながら何気なく時計を見ると、いつの間にか八時を過ぎている。

「さ、仕事しよっか西野くん」

今日もこなさなければならない仕事がたくさんあるのだ。

私は机に向かい、フリースのブランケットを畳んでデスクの引き出しにしまうと、PCの電源を入れた。


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