2LDKの元!?カレ

それから杏仁豆腐を平らげると、私達は席を立った。

「みちる、お会計は私が」
「いいの?」
「もちろん、服を貸してもらったお礼。それと、ちょっと仕事していってもいい?」
「う、うん」

首を傾げながらも同意するみちると一緒にレジへと向かう。

会計を済ませた後、私は女性定員に話しかけた。

「ごちそうさまでした、とてもおいしかったです。お粥も、お茶もデザートも。また来ます、絶対」
「ありがとうございます」

私の言葉に、嬉しそうにはにかむ。

「それとですね。実は私、女性誌で編集の仕事をしているんです。もしよろしければ、今度取材させていただけたら、と思いまして」

名刺を一枚差し出すと、「取材ですか?」と驚いたように目を見開いて、奥にいる男性を手招きで呼び寄せた。

どうした?とでもいう様な表情で女性の元へ駆け寄る。

「取材したいんですって」
「……取材?」

エプロンで水気を拭いた手で差し出したままの私の名刺を手に取ってしげしげと見つめる。

男性はかすかに顔をしかめて、女性に何かを耳打ちした。

それを見た私は、交渉失敗だと覚悟する。

けれどその次の瞬間、「よろしくお願いします」と二人そろって頭を下げた。

「――取材、受けて下さるんですか?」
「もちろんです。またとないチャンスだと思って、快くお受けします」
「ありがとうございます。後でご連絡しますので、詳しいお話はその時に。どうぞよろしくお願いたします」

よかった。そう胸を撫で下ろし、再来月の掲載分はここ、満月庵にしようと決めた。

それから私は深々と頭を下げてみちると共に店を後にした。


< 137 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop