2LDKの元!?カレ
私はその背中を見送ると、聡からのメールに返信をし、すぐさま作業を再開する。
それから数時間。
ようやく仕事を切り上げる目処がたった私たちは、時間差で退社して、地下鉄の改札口で落ち合う約束をした。
「お待たせ、西野くん」
私は券売機近くの柱に寄り掛かってスマートフォンをいじっている西野くんを見つけ、小走りで駆け寄った。
「ごめんね、遅くなっちゃった。帰り際、大崎さんに呼び止められてね」
「まあ、そんな所だろうと思ってました」
「本当に、ごめん」
私が頭を下げると、西野くんは笑顔で首を横に振る。
「いいえ、大丈夫です。こうして待つのも、割りといいものでしたから。じゃあ、帰りましょうか」
「うん」
改札を抜けると、西野くんはあたりまえのように私の手を握る。
そしてその手を口元に持ってくると、チュッと唇を当てた。
「ちょっと、だめだよ西野くん」
こんなところで。そう思ってやんわりと咎めても、西野くんは動じない。
「これでもすごくガマンしてるんですけど、オレ」
そういってほほ笑まれてしまえば、もう返す言葉すら見つけられなかった。