2LDKの元!?カレ

「そろそろ行かなきゃ」

私はカバンを肩にかけると、PCの入った重い通勤用のカバンを反対側の手に持つ。

「じゃあ、いってきます」

玄関で靴を履き、誰もいない部屋に向かったそうつぶやくと私はマンションを出た。

今の時間帯は、通勤ラッシュのピーク。

この大荷物で満員電車に揺られるのはそれなりの覚悟が必要かもしれないと思った。

渋谷で電車を乗り換えて、会社の最寄り駅についたころには、グッタリとしてしまって。思い付きで行動に出てしまった自分を少し恨んだ。

改札を出て、階段を上がると、もうすでに息が上がっている。

ここから満月庵まではもう少し先。気合を入れなおすと、私はまた歩き出した。

「おはようございます」

店のドアを開けると、店員の女性が笑顔で迎えてくれた。

「おはようございます。また来てくださってありがとうございます」

お好きな席へといわれた私は、奥の厨房が見える席を選んで座った。

「こちらがメニュー表です。メインのお粥は朝も昼と変わりはないのですが、追加で作り立ての豆乳とダンピンという卵とねぎを巻いたクレープの様なものが付きます」
「……じゃあ、鶏粥と追加の二品もお願いします」
「はい、かしこまりました」

昼時と比べると、客の入りはあまり多くはない印象だが、静かな店内で、ゆったりと朝食を食べられる。

それはそれで、実はものすごく贅沢なことかも知れない。

私が記事にすることで客足が伸びたとして、もし、この雰囲気が壊れてしまうようなことがあったら残念だ。

その点は前もって確認しておこう。

私は手帳を取り出すと、ペンを走らせた。


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