2LDKの元!?カレ

 編集部に到着して自分のデスクに座ると、早速、満月庵で走り書きした手帳のメモをパソコンに打ち込んだ。

許可をもらってスマートフォンのカメラで撮影した店の内装や料理の写真も一緒に保存しておく。

次に店に出向くときは、ページのイメージをラフにして提示できたらいい。

なんだかとてもいい記事が書けそうな気がして思わず顔がゆるむ。

「何かいいことでも?」
「西野くん」
「おはようございます、小松チーフ」
「おはよう。ねえ、これみて」

声をかけると西野くんは、すごく近い位置からPCの画面をのぞき込んでくる。

私の頬をくすぐる彼のほんのり湿った髪の毛からは、シャンプーしたてのとてもいい香がした。

「ああこれ、チーフの担当している企画ですね。へえ、お粥か。おいしそうですね」
「そうなの。すごくおいしいんだよ、ここのお店」

言いながら振り返ると、唇が触れそうになる。

それほどの至近距離。

まずい。そう思った私はとっさに距離を置こうとした。

なのに、西野くんは私の椅子のキャスターを足で踏んで動かないようにしている。

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