2LDKの元!?カレ
「残念。逃げられませんよ」
そうささやいてそっと頬を寄せた。
後ろの席にはまだ誰もいない。
もちろん真田さんも出勤してきていない。
でも、斜め前のデスクではほかの部員が作業をしているのだ。
山積の資料でお互いの顔は見えないけれど、立ち上がってしまうと見られてしまう。
否応なしに早まる鼓動はドクドクと大きな音を響かせるので、余計に私の気持ちを焦らせた。
「ねえ、西野くん。もういい加減に離れてよ。見られたらどうするの」
小声で抗議する。なのに、西野くんはまったく動じない様子で答える。
「だってオレ、ひと晩志保子さんと一緒にいないだけで禁断症状に苦しんでいるんです」
言いながらクスクスと笑った。
「バカなこと言わないで。今夜は一緒にいる約束なんだからいいでしょ?ちゃんとそのつもりで来たんだから」
デスクの足元に押し込んだ荷物を指示しながら言う。
すると、西野くんは渋々ながらも私を解放してくれた。