2LDKの元!?カレ

「西野様、小松様。準備が整いましたので、ご案内いたします」

カクテルを飲み終えたタイミングで、声を掛けてきたのは、以前ここに来た時にお世話になった男性のウエイターだった。

私たちは、バーテンダーにお礼を言って彼の後に付いていく。

通されたのは、厨房と隣り合わせの十畳ほどの個室。

白い壁に囲まれた殺風景な部屋の真ん中には大きめのテーブルが置かれていて、おそらく冬仕様であろうテーブルコーディネートがされている。

これを誰が。そう思った時、西野くんが唸るように言った。

「さすが鏑木さん。安易にクリスマスカラーとか持ってこないのがいいセンス。そう思いませんか?」
「本当に。彼、料理の才能だけじゃないんだ。まるでプロのコーディネーターがデザインしたみたい」

燭台も、フラワーアレンジメントも、ナプキンの柄も氷や雪を連想させるデザインで揃えられている。

そのどれもが手の込んだ作りなのに、各々が個性を主張している訳でもない。

おそらくそれは、料理を引き立てるためだろう。

ここにどんな料理が乗せられるのか。きっと美しい芸術品にちがいない。

そう期待すると共に、これと一緒に写るモデルも更にレベルを上げていかないといけないと思った。

そして互いを高め合えるようなものにしないとならない。生かすも殺すも私次第というわけか。これは責任重大だ。

ゴクリと息を飲むと同時に、今入ってきたのとは別のドアが開き、鏑木圭が姿を現した。

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