2LDKの元!?カレ
「お待たせして申し訳ない」
鏑木は額に滲む汗をまくり上げたコックコートの袖で拭いながらいう。
私はとっさに言葉を探すが見つからず、すがるように西野くんを見た。すると彼は大丈夫とでもいうように小さく頷いてくれる。
「お疲れ様です、鏑木さん。お忙しいのに時間を作ってくださってありがとうございます」
「――ありがとうございます」
私も西野くんに便乗して頭を下げる。
鏑木はチラリと私をみてすぐ、西野くんに視線を戻した。
「こういうことはあまり後回しにしたくなくてね。それに君も早い方がいいって言っていていただろう?」
「いいました。でもまさか、本当に応えてくれるとは思っていませんでしたけどね。テーブルコーディネートもいい感じだし、料理も期待していいんですよね?」
「西野くん、そんな言い方したら駄目だよ」
あまりにも砕けたものの言い方に、私は慌てて注意する。
しかし、鏑木はまったく気にしていない様子で頷く。