2LDKの元!?カレ
恥ずかしいというより、情けない。
曲がりなりにも私は編集者だ。鏑木の前で緊張しているからといって、どうしてもっとこう、気の利いたコメントができなかったのだろう。
後悔ばかりが先に立つ。
そんな私をかばうように、西野くんは言葉を重ねた。
「実はオレも、うまく言葉にできないくらいいいなって思いました。文句なしです。さすが鏑木さんですね。ああでも、記事にする時はちゃんとした言葉で書きますから安心してください」
「ああ、分かっているよ。心配なんてしてないさ」
ライターは使わず、西野くんが取材し記事を書く。
これが取材を承諾する際に鏑木が出した条件の一つだ。
その他にもいろいろと彼なりのこだわりがあるのだが、それは西野くんが上手く調整してくれているようだ。
「よかった。そしたらこれ、食べてもいいですか?」
「もちろんだよ。あなたも、どうぞ」
そう付け加えられて、私は恐縮しながら頭を下げる。
「今、ワインを用意させるからゆっくりしていくといい」
「ありがとうございます、鏑木さん」
西野くんを見つめる鏑木の目が優しい。
そこにはやはり、特別な感情があるのではないかと疑いたくなる。
それが愛情だとは限らないのだけれど。例えば惹かれあうポイントが互いの才能だとしたら、彼らは相思相愛なのだ。そこに私の入り込む隙はない。少し、妬ける。